社員台帳(社員名簿)とは? 記載内容や管理方法、注意点などのルールを解説
社員台帳(社員名簿)とは、従業員の氏名や勤務履歴といった個人情報が載っている法定帳簿のことです。この記事では、社員台帳への記載内容や管理方法、注意点などのルールについて詳しく解説いたします。
社員台帳は、従業員の氏名や住所などの情報が記載された名簿です。呼び方は異なりますが、内容は「社員名簿」と同じです。
労働基準法により作成・管理が義務化されていますが、従業員の個人情報を扱う「社員台帳」に対し、不安を抱えている人事担当者も多いかと思います。
そこで、本記事では社員台帳の内容や管理方法、注意点などのルールを詳しく解説します。ぜひ参考にしてください。
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1.社員台帳とは
社員台帳(社員名簿)とは、労働基準法107条によって作成が義務付けられた正式な名簿です。「従業員名簿」や「人事台帳」と呼ばれることもあります。
なお、労基法で作成が義務付けられている「社員台帳」「賃金台帳」「出勤簿」をあわせて「法定三帳簿」と呼ばれています。
社員台帳には、すべての従業員の氏名、生年月日、勤務履歴などの厚生労働省が指定する事項が記入されており、企業は厳重に保管しなくてはなりません。
平成27年9月より個人情報保護法が改正され、社員数にかかわらず、社員台帳の作成が義務化されました。
社員台帳に不備があった場合、労働基準監督署から「是正勧告」を受けることもあるため、注意が必要です。記入事項に変更があった際も、速やかな訂正を求められます。
1-1.社員台帳の対象者
社員台帳は、正社員や契約社員、アルバイトやパートといった雇用形態に問わず、すべての労働者に対して作成することが原則です。
ただし、日雇い労働者については作成が不要とされています。
また、派遣労働者は、派遣元が社員台帳を作成するため、派遣先企業が社員台帳を作成する必要はありません。
注意したいのが、企業の「代表者」と「役員」の対応です。
労働基準法上、代表者や役員は「労働者」ではないため、労働基準監督署の調査は対象外となります。
しかし、社会保険事務所の調査では代表や役員も「被保険者」であるため、社員台帳の作成が必要です。
短期アルバイトを採用した場合も、社員台帳を作成し保管する義務がありますので、注意しましょう。
1-2.社員台帳の記載項目は2種類
社員台帳の記載項目は、必須項目と任意項目の2つに分かれます。
必須項目
社員台帳の「必須項目」は以下の通りです。
必須項目 | 記載内容 |
---|---|
氏名、生年月日、性別 | ・結婚後に旧姓を使用している場合、戸籍上の氏名も記載する。 |
住所 | ・交通費支給の参考にするため、記載する。 |
履歴 | ・社内での異動や配置転換、昇進といった情報も記載する。 |
業務の種類 | ・従業員が行う業務内容を記載する。 |
雇入の年月日 | ・雇用開始日を記載する。 |
退職の年月日とその事由 | ・従業員都合で退職した場合は記載不要。 ・会社側で解雇した場合はその理由を記載する。 |
死亡の年月日とその事由 | ・従業員が在職中に死亡した場合、理由も記載する。 (労災認定の有無に関わるため) |
これらの項目は、労働基準法によって定められており、必ず記載する必要があります。
任意項目
社員台帳の「任意項目」は以下の通りです。
社員番号 | ・社員番号やコードを記載する |
---|---|
連絡先 | ・固定電話、携帯電話、メールアドレスを記載する |
家族情報 | ・従業員家族の氏名や続柄、生年月日を記載する |
免許・資格 | ・従業員が取得している免許や資格を記載する |
学歴 | ・従業員の学歴を記載する |
緊急連絡先 | ・従業員の緊急連絡先を記載する |
健康保険番号 厚生年金番号 雇用保険番号の取得日 | ・保険や年金番号、取得日を記載する |
社員番号や学歴、資格、免許の有無等を「任意項目」として記載する企業もあります。
緊急連絡先や健康保険・厚生年金の番号は、多くの企業で実質的に「必須項目」として扱われることが多いです。
1-3.社員台帳には5年間の保存義務がある
社員台帳は、労働基準法109条によって5年間保存することが義務付けられています。
2020年に法改正があり、保存期間が3年から5年に延長されましたが、当面は改正前と同じく3年間の保存で問題ありません。
保存期間の起算日は、労働者の退職や解雇、死亡の日とされています。
賃金台帳や出勤簿など、同じ法定帳簿でも保存期間の起算日が異なるため、明確に区別して管理しましょう。
1-4.違反した場合は罰則もあり得る
個人事業主を含め、従業員を雇っている企業には、社員台帳の作成が義務付けられています。
罰則の内容は労働基準法120条で定められており、作成義務違反には30万円以下の罰金を課せられる可能性があるので、注意が必要です。
社員台帳の作成や記入内容に漏れがある場合、労働基準監督署から「是正勧告」を受ける可能性もあります。
法令違反は会社の信頼を著しく損ねるため、適切に法定帳簿を作成し、管理しましょう。
2.社員台帳管理の課題
ここからは、社員台帳の作成管理に関する課題について、解説します。
2-1.作成や更新作業が大変
社員台帳は、従業員の入退社や勤務状況の変化などに応じて、頻繁に台帳を作成・更新しなければなりません。
変更があった際は、速やかに更新しなければならないため、紙媒体で管理している場合、修正や更新に時間と手間がかかります。
担当者の負担を軽くするためにも、社員台帳はシステム上で管理することが望ましいです。管理作業の効率化を図ることで、作成・更新の手間や負担を大きく軽減できます。
現在、紙媒体で管理している場合は、システムでの管理を検討してみるのも良いでしょう。
2-2.紙ベースでの保管はリスクが高い
社員台帳を管理する際には、個人情報の取り扱いに十分注意する必要があります。
紙媒体による保管でも、ある程度のリスク対策は可能ですが、最低限の対策になりがちです。紛失の可能性も否定できないため、紙ベースでの保管はリスクが高いと言えます。
社員台帳をシステム上で管理すると、閲覧制限をかけられるため、より強力なセキュリティ対策を講じられます。
さらに、オンライン上で管理するので、紛失対策にもつながります。
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3.社員台帳管理の注意点
個人情報である「社員台帳」を安易に扱ってしまうと、後々大きなトラブルを招く要因となります。ここからは、社員台帳を取り扱う上での注意点を解説していきます。
3-1.個人情報保護の対象
社員台帳に記載された情報は「個人情報」に該当します。
記載された情報を必要とする担当者が、迅速にアクセスできる環境は理想的ですが、誰でも簡単に閲覧できる状態は問題です。
従業員の個人情報を守るためにも、社員台帳へのアクセス権限を調整する必要があります。
例えば、アクセスできるユーザーを特定の社員に限定したうえで、権限範囲を「閲覧」あるいは「編集作業まで」に限定するなど、細かく設定しておくと安心でしょう。
3-2.印刷環境を整えておく
一般的には電子データで保管しますが、場合によっては紙媒体が必要となることがあります。労働基準監督署の立ち入り調査時には、紙ベースでの提出が求められることがあるためです。
電子データで管理している場合は、紙媒体での提出が必要になる場合に備えて、印刷環境を整備しておくと良いでしょう。
3-3.変更があったら都度更新すること
社員台帳では、従業員の入退社、昇進、降格、休職、復職といったさまざまな変更が度々発生します。変更があった際は適宜更新しましょう。
変更が反映されていないと、労務管理に支障をきたしたり、法令違反につながったりする可能性があります。
特に紙ベースで管理している場合、手作業での修正となるため、入力ミスのリスクがあります。
ヒューマンエラーの防止や業務効率化のためにも、システムを導入して自動更新できるようにしましょう。
4.社員台帳の管理方法
社員台帳の保存形式に、明確な規定は存在しません。
紙媒体と電子データのいずれの方法で保存しても問題ありませんが、電子データで保存する場合、以下の条件を満たす必要があります。
・法令で定められた要件を満たし、画面上に表示し印刷できる
・労働基準監督官の臨検監督の際に、必要な情報を直ちに提出できる
・誤って消去されないように対策している
・長期間保管できる
社員台帳は、労働基準監督署の調査で提出が求められる場合や、雇用保険の手続きに必要であるため、適切に保存することが求められます。
4-1.Excelで管理する
社員台帳を管理する方法の一つとして、Excelを活用した管理があります。
Excelの社員台帳フォーマット(テンプレート)を利用し、そこに社員情報を入力して管理する方法です。
Excelで管理するメリットとデメリットは以下の通りです。
メリット | ・操作が簡単 ・パスワードを設定できる ・無料の台帳フォーマットが多数ある |
---|---|
デメリット | ・従業員数が増えると管理が大変 ・パスワードの漏洩リスクがある |
厚生労働省の「主要様式ダウンロードコーナー」でも社員台帳のフォーマットを入手できます。
また、健康保険や年金、労働関連といったフォーマットも、無料でダウンロードできます。
4-2.人事管理システムを使う
社員台帳を管理するもう一つの方法として、クラウド系の人事管理ソフトの導入があります。人事管理システムとは、人事に関する様々な情報を一括管理するシステムです。
具体的には、社員台帳の管理や出退勤管理、勤怠や残業申請の処理、人事評価の履歴管理など、人事部門の業務を効率的に管理できます。
人事管理システムで管理するメリットとデメリットは、以下の通りです。
メリット | ・いつでもどこでも修正や変更が可能 ・ヒューマンエラーや情報漏洩リスクが低い ・連携機能によって業務がスムーズになる |
---|---|
デメリット | ・動作がシステム提供者側に委ねられる ・セキュリティツールの追加が必要 |
クラウド型の人事管理システム「ヒトマワリ」では、従業員のあらゆるデータをクラウド上で一元管理できます。
クラウド上で従業員情報を管理するため、迅速かつ正確に情報更新でき、効率よく業務を進められます。
5.人事管理システムを選ぶポイント
企業によって社員台帳の管理方法は異なりますが、クラウド上で管理できる「人事管理システム」が最も便利で効果的です。人事管理システムを選ぶ際は、5つのポイントに注意する必要があります。
5-1.必要な機能が揃っているか
1つ目のポイントは、必要な機能が揃っているかどうかです。
人事管理システムには、社員台帳や勤怠管理、給与計算などの基本機能に加え、人材分析や年末調整、福利厚生の管理といった様々な機能があります。
自社に必要のない機能が入っていると、管理画面や操作が複雑になり、かえって作業効率が低下してしまいます。そのため、必要な機能だけを厳選し、取り入れると良いでしょう。
必要な機能に限定することで、人事管理システムをスムーズに運用でき、より効率的に業務を進められます。
5-2.予算に合った料金か
2つ目のポイントは、予算に合った料金かどうかです。
システムを契約する際は、会社の予算に合っているか、初期費用や月額利用料をしっかり確認しましょう。
システムの導入によって、従業員の作業負荷がどれだけ軽減できるかを想像しつつ、人件費とシステム費のバランスを考えて、比較検討すると良いです。
5-3.使いやすいかどうか
3つ目のポイントは、使いやすいかどうかです。
システムの「操作性」は非常に重要な要素であり、ICTシステムに不慣れな担当者の場合、複雑な操作に時間がかかってしまうことがあります。
また、操作性だけでなく「管理画面の見やすさ」も重要な要素です。担当者がスムーズに作成や管理ができるよう、見やすく扱いやすいシステムを選ぶことが重要です。
5-4.セキュリティ対策が万全か
4つ目のポイントは、セキュリティ対策が万全かどうかです。
個人情報を安全に取り扱うには、一定レベルのセキュリティが必要となります。
人事管理システムのセキュリティ機能には、
・データの送受信が暗号化される機能
・トラブルに対する監視や検知が行われる機能
・ファイアウォールなどによる不正アクセスを防止する機能
が備わっています。
一定以上のセキュリティレベルを求める場合は、追加のセキュリティツールを導入する必要があります。
その際は、導入するツールのセキュリティ内容をしっかり確認するようにしましょう。
5-5.サポート体制は充実しているか
5つ目のポイントは、サポート体制が充実しているかどうかです。
初めて人事管理システムを導入する場合、使い方がわからずに困ることや、トラブルに遭遇して解決方法が分からないケースもあるでしょう。
そのため、サポート体制の充実度は非常に重要なポイントです。
電話やチャットによるアドバイスや、システムの導入支援、代行サービスなど、さまざまな内容が含まれます。
サポート内容や有償・無償は、ベンダーによって異なるため、契約前に確認しておきましょう。
トラブルが発生しても対処できるよう、しっかりとしたサポート体制が整っているシステムを選ぶことが大切です。
また、タレントマネジメントシステムの選定のポイントや他社の人事システムとの違いについてこちらで「タレントマネジメントシステム徹底比較! 選定ポイントや目的別の選び方」解説しています。
6.まとめ
社員台帳(社員名簿)には、従業員の氏名や勤務履歴といった個人情報が書かれています。常に最新の情報に更新する必要があるため、人為的ミスを防ぐためにも人事管理システムなどのツール導入がおすすめです。
さまざまなベンダーからシステムが提供されているので、機能と値段のバランスやサポート体制、セキュリティを確認したうえで自社に合うものを選びましょう。