第9回 昭和のおじさんが勉強し直した「人的資本経営」の話③


 
「昭和のおじさんが勉強し直した「人的資本経営」の話」
part3 ―経営戦略と人事戦略を紐づけるための基本― 

 
前回に引き続き今回は細かく説明をしたいと思います。
まずは「理念」です。


まず「経営理念」ですが、これはトップ本人が熟考して頂く必要があります。
こればっかしはトップしか決められません。
 
 
続いて「基本方針」です。
 
こちらは話し合いをもって決められるでしょう、
決め方としては「顧客」「商品」「社員」「会社・組織」「業界」「取引先」に対する会社の姿勢・考え方をどうするか?
6つのポイントで考えると作りやすいと思います。
 
 
次に「行動理念」です、よく社訓としても使われます。
経営理念と基本方針を実現するために、社員たちにどのような考え方、行動を求めていくのか?
を明確にしたものです。
 
社員たちのバラバラな仕事に対する考え方、関わり方を
「行動理念」によってベクトルをひとつにして行くことが出来ます。
この行動理念は仕事上のあらゆる場面での判断のよりどころとなるものにすることが重要です。
 
苦境に立った時、意見が割れたとき等、
この経営側と従業員の共通言語となる「行動理念」があるのとないのでは、
組織が大きくなればなるほど会社が求める正しい判断に差がついていきます。
 
 
このカテゴリー最後に整理すべきは「人事理念」です。
経営理念が経営についての考え方を示したものに対して、
人事理念は会社の人材についての考え方を示したものです。
 
行動理念にそって、経営理念に貢献するためには、どのような人材に成長してほしいのか?
こだわりたい要素は何かという視点で考えていきます。
 
 

次に「目標」のカテゴリーです。
 
最初に定めるのは「ビジョン」です。
「ビジョン」はまず10年としましょう、10年後の会社のあるべき姿を示します。
 
ビジョンは定量的なビジョンと定性的なビジョン両方を定めます。
定量であれば売上の規模や、一人当たりの生産性を定めます。
定性的なビジョンとしては、同じ業界のプレイヤーとして10年後どの位置にいるのかなどです。
 
 
続いてビジョンを実現するために必要な「事業計画」を定めます。
これもビジョンと連動するなら10カ年となります。
ビジョンを達成させるために業績をいつまでにどこまでを設定します。
 
 
そして最後に「戦略」、これは皆さんご存知のように、事業計画を達成するための打ち手です。
誰に、何を、どうやって、顧客戦略と商品戦略と行動計画ですね。
 
 

最後に「育成」のカテゴリーになりますここが結構ポイントです。
 
一つ目が現在の人材レベルの把握、人材の強みと課題を洗い出します。
敵を知り己を知れば百選危うからずの、己を知るという事ですね。
そして10年後のビジョンを実現できる人材像を言語化します。

これは当たり前の内容で良いんです、とにかく言語化することが大切です。

例えばリーダーでは
・自社の理念ビジョンを部門に浸透管理することができる人材とか、
・目標の達成に向けて部門をまとめ上げられる人材とか、

全社員でいうと
・理念ビジョンを理解し、行動理念に沿って活動できる人材
・目標達成に向けて取り組める人材などです。

どう育ってほしいのかを具体的に示すことによって、何が不足しているのか、そしていつまでに共に改善していくのか?を考えリーダーは従業員を導いて行きやすくなります。

そして10年後の人員構成のビジョン、人材のポートフォリオとも言います。

ちょっとこちらに戻りますね
将来的な目標から逆算して、
優先順位の高い経営戦略の達成に必要な人材ポートフォリオ
(どのような質の人材がどの程度の量、社内に存在しているか)を明確に定義していますか?
(例、X年後までにグローバル経営リーダーX名、新規事業リーダーX名、DX人材X名など)

とありますが、グローバル経営リーダーやDX人材等細かく分ける前にもっと簡単に考えてみたいと思います。

会社は大きく分けて4つの立場で構成されていると考えてみましょう。
それは
「経営する人」「管理する人」「教える人」「手を動かす人」の4種類です。
少し考えやすくなったのではないでしょうか?

先ずは今この4種類の役割に当てはまる人材のスキルと人数を把握する必要があります。

そしてその後やることはたった2つです。
経営計画に基づいた、5年又は10年後に各役割に当てはまるべき人材の言語化と人数です。

よってギャップを埋めるために必要な育成の計画を立てることが出来るようになります。

長くなりましたがここまでやって初めて経営戦略と人事戦略の紐づけの基礎が出来ると考えられます。

しかしここで問題が発生します。

「そうはいっても、上が定めてくれない」「うちはビジョンとかそういうものは無い」等の理由で前向きになれないケースです。
でも会社の売り上げが上がらないことを喜ぶ経営者はいません。

売上を上げるためには、人が必要であることは経営者も理解しています。
人が辞める理由の一番は人間関係と言われていますが、
先ほどお話した行動理念、共通言語が無い中でどのようにあるべき関係を築いていくのでしょうか。

また退職の理由として、「先が見えない」という言葉もよく聞きます。
経営戦略と人事戦略を紐づけが出来ていないがために、会社がどうなって自分がどうなるのか?
落とし込まれていないがために、このような現象が起きるのです。

僕自身も自社が300名超えているわけでもなく偉そうなことは言えないんですが、
でもですよ、やってやりたいとは思って日々活動していて、
人的資本経営の一助となる事が出来るシステムとして自社の商材ヒトマワリを提供しているわけです。

皆さんの中に、今の会社を良くしたいと思ってない人は居ないと思います。
よって今真剣に自社を見つめて、
前向きになれないケースを経営者と共に払拭していくチャンスととらえトライして貰えればと思います。

今回の話はステップ1を達成した時点で、大部分の課題を解決する道筋が見えてくるはずです。

これで現在と未来が出来ました。
あとはこれを線でつなげて行くために、
採用と教育の計画を立てて実行し改善を行って行く、ただそれだけです。

 
 
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