第2回 人事評価制度の目的とは?


※今回の内容は、2022年3月11日に実施した、評価制度の作り方セミナーの内容を書き起こし抜粋しております。
 
 

人事評価制度の目的とは?

一つめは「人事評価制度」は人材を育成するための仕組みだということ
そしてもうひとつは「人事評価制度」は経営計画を達成するための仕組みの一つだという事です。
今の私のもとには、特に100名以下の企業のお客様から、
評価制度構築支援のご依頼が多くあります。
要するに経営者のみなさんは、
評価制度の重要性を早い段階で肌で感じていて、
出来る限り平等に評価したいと
企業規模が小さいと言ったら失礼ですが、少人数の状態から
その必要性を理解しているということがよく分かります。
また100名や300名を超えて、評価をすでに数年続けているお客様から、
人事評価が機能していないと考えていたり、不満を感じているケースが多いと感じています。
 
 

アンケート調査からわかる人事評価制度の本質

アンケート調査からわかる評価制度の実態です。
経営者に適性に評価を行えていると思いますか?と聞いてみたところ、
Yesと答えていた人が77.8%居るのに対して、
従業員側の満足度を調査してみるとYesと答えた人が37.7%、
Noと答えた人が62.3%という結果になっています。

※出典:日経BP「評価制度」に関する意識調査
 
●アンケート調査からわかる人事評価制度の本質
1位 評価基準が不明確
2位 評価によってばらつきがある
3位 フィードバックが無い
等々、4、5位を見ても基準や、何がダメだったのか分からない、
自分へ、お金や言葉でもフィードバックが無いということが挙げられています。
せっかく評価制度を作ったのに残念です。
何故こういったことが起きるのでしょうか?
 
評価制度とは何なのかが、批評価者ならびに評価者に理解されないまま
運用が進んでいるからだと言えます。
経営計画を達成するための一つの仕組みである評価制度であるわけですから、
その経営計画を達成するために必要な人材の定義が明確化(言語化)出来ていないので、
教育の為の評価制度が機能しておらず、
批評価者ならびに評価者もどうしたら良いのか分からないという現象が
起きているのだと考えられます。
 
 

評価構築における3つのステップ

step1
企業としての一貫性を持つために会社として何を目指しているのか?
人材に対してどうなってほしいのかを定めるステップです。

step2
実際の評価制度を作るステップです。

step3
実際に評価を運用するステップです。
実際に批評価者に対する育成計画を含めた打ち合わせ、
批評価者への面談による落とし込み、
実際の目標の設定、進捗の面談、最終的な評価の決定、
批評価者へのフィードバックと批評価者からのフィードバックを貰い
次に生かしていくまでのステップです。
フィードバックを貰う理由としては、
満足しているのかどうなのか?満足をしていない理由としては何なのかを知り、
批評価者へ再度フィードバックしていくためです。
 
 

step1:企業としての一貫性を持つために会社として何を目指しているのか?

人材に対してどうなってほしいのかを定めるステップ
「理念」と「目標」と「育成」の3つのカテゴリー10の整理を行うと良いでしょう。

 
 

step2:実際の評価制度を作るステップ

グレード(役職)と求める仕事のレベルを明確にします。
「経営する人」「管理する人」「教える人」「手を動かす人」に分類します。
例えば部長は「経営する人」に分類、グレードは「S1」求める仕事レベルは
・経営理念を部門全体へ、落とし込みができる
・会社及び部門の方針、予算の立案、浸透、落とし込みが出来る
・将来ビジョンを構築し、常に変化に対応できる
・業務拡大の推進ができる
等々グレードごとに求められる仕事のレベルを言語化することで、
評価の基準を具体的に設定する前に、
評価基準のフレームに必要な「グレードに求める仕事のレベルを設定します。」
 
次に何を評価対象とすべきかを定めます。
一般的に評価対象となっているのは
①生活 ②役職 ③能力 ④行動 ⑤成果 ⑥功績の6つです。
 
 ①生活:年齢・家族構成・勤務地・前職給 安心を得る
 ②役職:難易度・重要度 重責を担いたい醸成
 ③能力・スキル:勉強したいを醸成、判断が難しい
 ④行動:KPIの達成・遂行度合い 勝ちパターンがあれば強い
 ⑥功績:過去の功績 期待感を醸成
 
等々、評価と一口に言っても、
業務に直接関係するものしないもの、長期的、短期的なもの、努力に左右されるものがありますが、
最も大切な事は評価される側の納得感です。
ステップ1で定めた内容に基づき、
全社のベクトルを合わせ各社員の納得感を向上させる評価づくりが大切です。
 
 
しかしここで再度問題が発生します。
それは、せっかく定めた、ステップ1の会社と従業員の在り方と、
評価制度を作り、物差しを明確にしたとしても。
従業員自体を計るための情報がバラバラに管理されていて、
物差しを充てる対象である従業員のディールが明確にならず、
各評価者の基準によって、
過大、過小評価されるケースが出てきてしまうという事です。
それを防ぐためには
評価制度構築と、人材の情報の管理はセットで行う必要があります。
 
 
そのために弊社でお勧めしているのが、人材データベースの構築
そのために弊社でお勧めしているのが、
タレントマネージメントシステムの導入です。
このタレントマネージメントシステムは
評価や育成に必要な情報を一元化出来るだけではなく、
評価自体をシステム内で運用することが出来たり、
評価や研修後のアンケートを収集し集約することが出来ます。
ここでよく私のお客様には、
評価制度とタレントマネージメントシステムはどちらを先に構築すべきか?
という質問を受けますが
同時進行でタレントマネージメントシステムの導入をお勧めしています。
ステップ1を定めるのが先?と考えるお客様も多いのですが、
今の情報を一元化することが出来ていない企業がほとんどですので、
まずは今ある情報を一元化しつつ、ステップ1を定め、
情報を少しずつ蓄積していくことをお勧めしています。
何が言いたいかというと、
測る物差しがきちんとしていても、測る対象の実態をきちんと捉えられていないと、
従業員の納得度の高い評価制度の実現は出来ないという事です。
 
 

まとめ

1.評価制度は経営計画の達成と教育の一つの仕組みであるということ
2.理念、目標、教育の3つのカテゴリー10の整理をきちんと行う事
3.グレード(役職)と求める仕事のレベルを明確化(言語化する)
4.批評価者の実態を正確に捉えられる人材情報を整理する。
この4つは行う事で初めて評価制度の構築ならびに運用をスタートできるということを、
知ってもらえればうれしいです。
さてこれは難しいことなのでしょうか?大変な事なのでしょうか?
難しくても、大変でも自社の成長にとっては最も重要な事であることには間違いありません。
勿論無償でご相談を受け付けておりますのでお気軽にお問合せ下さい。