タレントマネジメントシステム11選!選び方や導入するメリットについて解説【機能一覧表付】
タレントマネジメントシステムは、従業員の基本プロフィールをはじめ、スキルや経験といった能力(タレント)の把握を目的としたシステムのことです。
しかし、タレントマネジメントシステムも種類がたくさんあり、それぞれ機能や特徴も異なり、どれにしようかと悩んでいる方も多いかと思います。この記事では、おすすめのタレントマネジメントシステム11選と選び方について解説しています。基本的なタレントマネジメントシステムの機能一覧表もあるので、ぜひ参考にしてみてください。
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目次
1.タレントマネジメントシステムとは
タレントマネジメントシステムは、従業員の基本プロフィールをはじめ、スキルや経験といった能力(タレント)の把握を目的としたシステムのことです。
従業員に関する情報を一元管理し、人材のデータベースとして活用できます。
このシステムをうまく活用することで、有効な人材配置や育成、人事管理が実現できます。
タレントマネジメントの概念はもともと欧米を中心に採用されていましたが、2000年代後半以降は徐々に日本企業にも取り入れられるようになりました。
タレントマネジメントは直訳すると「能力の管理」です。社員の能力を可視化します。
近年のサービスでは、IT技術を取り入れながら発展しているため市場規模も拡大しています。
効率化された人事管理を求める企業で、必要性を感じている人事関係者も多いのが現状です。
1-1.タレントマネジメントシステム求められている背景
タレントマネジメントシステムが求められている背景には大きく3つの要因があります。
人材の多様化、労働者不足、市場の変化という3点です。
それぞれについて詳しく解説します。
①人材の多様化
現代社会では人材の多様化が進んでいます。
労働者の移動が活発になり、日本人のみならず外国人労働者が増加しているのです。
また、働き方改革により在宅勤務や時短勤務など働き方自体が多様化しています。
人材や働き方が多様化している中、従来の人材管理システムでは対応しきれないことが増えています。
労働者個人の能力を存分に引き出すためには従業員の実情に合った人材管理が必要になるため、タレントマネジメントシステムの導入が注目されているのです。
②労働者不足
労働者不足も大きな要因です。
日本の労働力不足は現在とても深刻で、少子高齢化社会による労働人口の減少は年々進行しています。
その影響は経済にも大きな負担を与え、将来に対する懸念もされるでしょう。
日本は国全体で労働者が不足しているため、企業は優秀な人材を確保するのが困難な状況です。
優秀な人材を有効活用するために、また離職防止のためにタレントマネジメントシステムが重要視されています。
③市場環境の変化
市場の変化速度は年々加速しています。
ITが普及し、セールスやマーケティングには多くのデータを使用することが一般的になってきました。
目まぐるしく変化する市場に対応するためにも、従業員の能力を存分に活用した育成が必要です。
タレントマネジメントシステムは全従業員の能力を的確に評価し、総合的に判断するのに大いに活躍してくれるでしょう。
2.タレントマネジメントシステムの種類
タレントマネジメントシステムには、機能や導入方法によりいくつかの種類があります。自社の規模やニーズに合わせて最適なタイプを選ぶことが重要です。それぞれの種類に関してまとめます。
2-1.一体型:人事管理システムを包括したパッケージ
一体型タレントマネジメントシステムは、人事管理システムとタレントマネジメントシステムを統合したオールインワンのパッケージシステムです。
人事情報だけでなく、能力評価や育成計画など人事と能力の管理を一貫して行うことができます。
このシステムは、統合的にデータ管理をすることで、戦略的な人材マネジメントが可能です。
個人の基本情報と能力、さらに仕事の実績やキャリアプランなど多岐にわたるデータを紐づけて分析できることはメリットといえるでしょう。
またシステムの導入や運用も一括して行えるのも魅力のひとつです。
その分導入コストがやや高くなる傾向があることは覚えておきましょう。
また自社の業務に適合するようカスタマイズしなければいけないこともあります。
一体型システムの導入を検討する際には、自社の人事業務の流れを把握し、標準機能で網羅できる範囲であることを確認することが重要です。
将来的に人事制度の変更や組織体制の変更などにも柔軟に対応できるシステムを選ぶことをおすすめします。
2-2.特化型
特化型タレントマネジメントシステムは、一体型と比較して、タレントマネジメントシステム機能を専門に行うことが特徴です。
人事管理システムとは別に導入されています。
スキル管理やキャリア開発など、人材の適材適所への配置や能力開発を重要視した機能に優れているのが魅力です。
特化型のメリットは、専門的でより高度なタレントマネジメント機能を発揮できることでしょう。
例えば、AIを使用した人材の分析や複雑なキャリアパスの設計など、一体型では困難な高度な機能を有します。
既存の人事管理システムと連携することもできるので、導入や運営のハードルがやや低くなるのです。
特化型のシステムを選択するときには、自社が抱えているマネジメント課題をはっきりとさせ、その課題を解決するのに必要な機能を備えているシステムを選択するところに重点を置きます。
また現在用いている既存の人事管理システムとの連携が取れるよう技術的な互換性を確認することも重要です。
2-3.クラウド型
クラウド型はクラウドサービスを用いて提供されるタレントマネジメントシステムです。
初期投資が抑えられ、導入へのハードルが低いことも魅力のひとつといえるでしょう。
また、オンライン上のシステムのためどこからでもアクセス可能で、リモートワークにも最適です。
一方、カスタマイズの幅が狭いこともあり、セキュリティ面での不安を感じる企業もあるでしょう。
2-4.オンプレミス型
オンプレミス型とは、自社のサーバーにタレントマネジメントシステムを構築するタイプです。
セキュリティ性も高く、自社に合わせてカスタマイズすることもできます。
しかし導入にかかる初期コストとランニングコストが割高になってしまうデメリットも覚えておかなければなりません。
さらに自社で運用し、システムの保守も行うことになるためIT人材と育成に時間を要しますが、セキュリティ面や機密保持を重視する企業に最適です。
3.タレントマネジメントシステムと人事管理システムの違い
タレントマネジメントシステムと人事管理システムの違いは、その目的と機能にあります。
どちらも人材に関するデータを管理する、という面では共通していますが、人事システムは、個人情報や雇用契約、勤怠、給与情報など人事業務に必要な情報を統一してまとめ、効率化や自動化を目指しているシステムです。
タレントマネジメントシステムは、人材の能力やスキル、キャリアプラン などのデータを用いて戦略的な人材配置などの支援をすることを目的としています。
どちらも企業の人材運営には重要な要素で、そのシステム同士互いに補完的な関係にあるといえるでしょう。
これらのシステムを連携して運営し、より効率的な人材マネジメントを実現できるはずです。
4.タレントマネジメントシステムの機能一覧
タレントマネジメントには多彩な機能がサービスごとに提供されていますが、ここでは基本的な機能について紹介します。
機能 | 解説 | 課題に対しての効果 |
従業員データベースの作成 | 氏名、年齢、勤続年数、等級等の定性的情報や、業務経験などのキャリア情報、保有資格、得意分野などの技術やスキル情報、研修や面談等のデータを集約する | 従業員のスキルや経験の把握 従業員の適材適所の配置 人材育成の方針や計画の策定 重要ポジションの後継者候補の選定 |
タレントの適正管理 | 従業員の業務実績や、固有の価値観、考え方などのマインドから管理職や専門職といった社内での適性を判断し、社員情報に統合する | 従業員の適性や興味関心と職務をマッチさせ、エンゲージメントを高める 従業員個々の能力を十分に引き出し、組織全体の生産性を向上させる |
評価管理 | 360度評価や従来の評価方法による適正な人事評価を実行し、その結果を社員情報に統合する | 評価基準を明確にし、公平・納得性の高い人事評価を可能にする 評価プロセスを効率化し、人材育成に活用する |
モチベーションの可視化 | 有能な社員の離職防止のため、社員満足度や個人の希望、要望、ストレス、ワークスタイルなどモチベーション情報を可視化する | 社員の満足度やモチベーション状態の把握 離職リスクの高い社員を特定する |
アンケート調査・集計・管理 | 社員の満足度調査、360度評価などに利用するアンケートの作成や管理、運用をする。回収結果を自動で集計、分析する | 社員の意見を集約し、課題を特定する アンケート調査の実施や集計の効率化 人事施策への反映を短縮できる |
タレント分析 | 社員の経験・スキル・評価などの情報をAI(人工知能)を用いて分析し、個人の特長や価値観、適正などの情報を発見する | 社員の強みや弱点を明確化できる 人事育成の優先順位を決定できる 組織の将来を担うハイポテンシャル人材を特定可能 |
最適な人材の発見とミスマッチ防止 | 社員データを利用し、必要な複数の条件に当てはまる人材を検索し、的確に抽出する | 適材適所の人材配置が可能となる 社員のスキルと職務要件をマッチできる |
ギャップの発見 | 社員のスキルと現状の職務との適正を確認できる。適正と大きく異なる場合には効果的な異動を検討できる | 組織が必要とするスキルと社員のスキルギャップを把握できる スキルギャップを埋めることで組織の競争力を高める |
人材配置シュミレーション | 組織編成の際に、人件費や業績などを比較しながら組み換え、シミュレーションすることで最適な組織を目指す | 人事異動や組織変更の影響を事前に把握する より短時間で最適な人員配置を検討できる |
採用支援 | 採用応募者の適性検査から行動特性を可視化し、類似社員に当てはめながら将来像を推測して採用合否の判断材料とする | 採用プロセスを効率化 適切な人材を見極め、現場とのミスマッチを低減させる |
キャリアプラン策定 | 職務に求める経験やスキル、資格、キャリアパスを設定し、社員のキャリアプラン策定を支援する | 社員のキャリア目標を明確化できる 社員のキャリア開発支援をサポートし、社員の定着率を上昇させる |
後継者管理 | 求められるリーダー像を具体的なものとし、必要な能力やポテンシャルを持った人材を早期に発見する。新規採用やヘッドハンティングにも応用できる | 重要ポジションの後継者候補を明確にし、育成の計画や実行を進める 新規採用やヘッドハンティングへの応用も可能で、事業継続性の安定化が見込める |
5.タレントマネジメントシステムの導入の目的
タレントマネジメントシステムの導入目的には、大きく4つの項目があります。
「最適な人材配置」「計画的な人材育成」「人材発掘」「従業員のモチベーションアップ」です。
それぞれについて紹介します。
最適な人材配置とは、タレントマネジメントシステムの検索機能を活用し、個々の能力を把握することで最適な人材活用を可能にするものです。
適材適所の人事配置を可能とし、企業全体のパフォーマンス向上も期待できるでしょう。
計画的な人材育成とは、システムの育成計画機能を利用して、個々の能力の長所や短所を把握し、強化したいポイントを明確化させます。
その情報をもとに育成計画を作成し、効率的な人材育成を実施していくのです。
人材発掘とは、個人の才能や潜在能力をシステムを用いて把握できるので、未来のリーダーとなる素質のある人材の選出や人材配置を行いやすくなります。
従業員のモチベーションアップとしては、タレントマネジメントシステムにより経歴や能力が正当に把握され、現状や目標が可視化されることによりモチベーションアップにつながります。
このようにタレントマネジメントシステムの導入により、多岐にわたる目的がられるでしょう。
6.タレントマネジメントシステムの選び方とポイント
タレントマネジメントシステムはさまざまな機能を持ちます。
そのため導入しただけでは十分な効果を発揮できません。
導入によるメリットを最大限発揮するには、自社に合った製品を選ばなければならないのです。
多くの製品があるタレントマネジメントシステムを選ぶ際に比較すべきポイントに関してご紹介します。
6-1.自社の人事システムと互換性があるのかで判断する
タレントマネジメントシステムを導入する際、既存の人事システムとデータ連携を行う必要があるでしょう。
スムーズな連携を行うために、既存の人事システムとの互換性をチェックすることが重要です。
例えば、社員の基本情報や人事評価のデータを導入予定のシステムに自動反映できるのかどうか、双方のシステム間でのデータの整合性を保持できるか、などを事前に確認しましょう。
6-2.初期費用やランニングコストがどれくらいか
タレントマネジメントシステムを導入するときには、初期費用とランニングコストが必要です。
それらにかかる費用と、予算の兼ね合いを考慮し企業にとって最適なシステムを選択しなければなりません。
まずクラウド型システムは初期費用を抑えられるメリットはありますが、月額や年額のランニングコストが必要です。
一方オンプレミス型システムは初期費用が比較的高価になるものの、長期的な視点ではトータルコストが抑えられる場合があります。
システムの導入に関して、自社に合わせたカスタマイズの費用やデータ移行の費用など、トータルでかかる費用に関して考慮しましょう。
用意された予算やコスト問題と照らし合わせて、最適なシステム選択をする事がおすすめです。
タレントマネジメントシステムの費用の一覧表は「【2024年最新】タレントマネジメントシステムの価格相場や無料トライアルありのサービスは?」から確認できます。
6-3.サポート体制が十分に整っているか
タレントマネジメントシステムを導入しても、上手に活用しなければ本末転倒です。
運用面でつまずくのは大変もったいない状況になります。
システムベンダーのサポート体制と、自社内に運用可能な人材が確保できることを確認しましょう。
例えば、トラブル発生時の対応時間や、問い合わせ方法、ユーザー向けの研修の有無など運用サポートに関する内容を具体的にチェックすることをおすすめします。
また、システムのバージョンアップや法改正などのルール変更に伴う対応も適切に行ってもらえるのかを確かめましょう。
自社の体制に見合ったサポートを提供するベンダーを選ぶことで、新しいシステムをより有効に活用できるでしょう。
6-4.セキュリティ対策が安心なものを選定する
情報社会である現代において、個人情報の管理は企業の責務となっています。
強固なセキュリティ機能を備えたシステムを選び、安全性の確保が重要なポイントです。
IDやパスワードの設定はもちろんのこと、端末認証機能や端末紛失時のデータ外部流出を阻止する機能がついたシステムも存在します。
また特定IPからのアクセス許可や除外が自由に設定できる機能などを搭載しているシステムもあるので、こういった強固なシステムを選ぶとよいでしょう。
さらに強固なものでは、パスワードの強度設定やデータの自動バックアップ機能など、データベースの二重化に対応しているものは、より安全性が高い製品です。
システム導入のときには、社内に設置されている他のセキュリティシステムとの整合性も確認しましょう。
6-5.自社の課題を解決する機能はあるか
タレントマネジメントシステムには種々の機能が搭載されています。
自社にとって必要な機能が何であるかを明確にしてから検討することが重要です。
例えば、人材の可視化に課題がある場合、社員のスキル管理や人材検索の機能に長けているかをチェックしましょう。
適材適所の人材配置に課題がある場合は、人材シミュレーションやタレント分析の機能が使いやすいかどうかを確認すべきです。
このように自社の課題に対して、どのような点を解決する機能があるのか検討してから導入を決めましょう。
6-6.現場の従業員が使いやすいUIか
タレントマネジメントシステムを導入しても、現場で活用できなければ効果を発揮できません。
現場の従業員が使いやすいシステムであることが極めて重要です。
システムの操作性や視認性などユーザーインターフェース(UI)の使いやすさを確認しましょう。
例えば、目的の情報にたどり着きやすい検索機能や直感的に操作できるナビゲーション、見やすいデザインなど、ユーザーが使用する際のUIを備えているかどうかを見極めます。
導入予定のシステムをデモンストレーションしたり、実物の画面を確認したりするなど、導入した想定での使い勝手を確かめましょう。
7.タレントマネジメントシステムを導入するメリット
タレントマネジメントシステムを導入するメリットとして、以下の5つがあります。
人材配置の最適化、人材育成や採用の効率化、人事データの一元管理、後継者育成の効率化、評価業務の効率化などです。
それぞれについて詳しくご説明します。
7-1.人事異動・人材配置の最適化
タレントマネジメントシステムを導入すると、社員のスキルや資格、経験などの情報を分析して人材配置を最適化できます。
基本機能として搭載されている検索機能を活用すると、求めているスキルや資格などの条件で検索し、必要な人材がどこに在籍しているのかを分析することが可能です。
自己申告の異動希望の要素を加えて、最適な人事異動を行うこともできます。
多くの場合は配置転換に関して、シミュレーション機能が搭載されているため、簡単な操作で配置転換を検討できるシステムもあります。
適材適所で人材を配置して、組織全体の生産性アップを目指しましょう。
7-2.人材採用や人材育成の効率化
タレントマネジメントシステムを導入することで人材採用や育成を効率化が可能です。
データベースの情報を分析が可能な「分析機能」や「スコアリング機能」を活用し、組織に不足しているスキルや人材を把握します。
そのうえで補うべき人材や、現在の社員に対するリスキリングの取り組みをはっきりさせることができます。
また育成計画機能を活用することで、個々の能力を把握でき、現在の人材をさらに有効的に活用できるはずです。
さらにうまく育成計画機能を活用できれば、新規の人事採用の際に活用することも可能でしょう。
7-3.後継者育成の効率化につながる
後継者管理機能はタレントマネジメントシステムの重要な機能のひとつです。
後継者を育成する必要があるポジションに将来就けそうな適性や能力のある社員を抽出して確認できます。
人事異動や人材配置機能、人材育成機能などと併用すれば、リーダーとして適性のある人材の抽出から育成を効率的に行えるでしょう。
労働力不足が問題となる現在では、企業の存続や将来性のために幹部候補生となる人材を計画的に育成することが大きな課題となっています。
タレントマネジメントシステムを導入し、多くの企業にとって重要課題となっている後継者不足のリスク回避を目指しましょう。
7-4.人事データの一元管理ができる
タレントマネジメントシステムを利用すると、名前や所属、入社年度など社員に関するさまざまな情報を一元管理できます。
そのため人材配置や育成、採用活動の改善に活用できる情報がまとまるのです。
システム上で簡単にデータを管理できると、従来の紙媒体やExcel管理のように社内にデータが点在してしまうこともなくなるでしょう。
これまで手作業でのデータ更新のためにかかっていた時間や労働力なども必要がなくなり、ヒューマンエラーによる誤入力のリスク回避にもつながります。
さらに、データベースに登録された情報は、条件ごとの検索や属性ごとのグラフ表示など組織としての分析にも長けています。
そのため社内の人材に関する現状把握を簡単に行うことができるでしょう。
7-5.評価業務の効率化
タレントマネジメントシステムは複数の評価形態のテンプレートを使用できます。
評価シートは自社の評価システムに合わせてカスタム可能なことが多く、社内基準に適した評価が可能です。
また、シートはシステム上で配布や回収などの業務が可能で、数値を自動集計しグラフや表にまとめられます。
評価の偏りやばらつき解消のための分析も簡単にできるため、社内評価の公平性や統一性を保つことができるでしょう。
タレントマネジメントシステムの導入によって、評価業務を簡便にし、効率よく行えば、公平性も保たれるため、社員のモチベーションアップにつながります。
8.タレントマネジメントシステムのデメリット
タレントマネジメントシステムには多くのメリットもありますが、いくつかのデメリットも存在します。その一部をご紹介します。
8-1.導入の初期フェーズで時間・コストがかかる
タレントマネジメントシステムを導入した直後は、システムの選定や設定をはじめ、データ移行などのセットアップに一定の時間とコストがかかります。
特にオンプレミス型システムの場合、自社独自のシステムを構築するためITリソースの確保や専門知識の習得が必要になります。
導入プロセスが長引くと通常業務への影響が大きくなる可能性もあるため、導入前にしっかりと社内で話し合うことをおすすめします。
8-2.過度なラベリングによって人材の多様性を見落とす可能性がある
タレントマネジメントシステムは、社員のスキルや適性をラベリングして人材の可視化を行います。
しかし、過度なラベリングは人材の多様性を見失うリスクがあります。
画一的基準で社員の能力を評価することで、特殊なスキルや経験、一般的でない経歴を持つ人材の価値を見落としてしまう可能性があるのです。
多様性が高まっている現代では、画一的な部分も重要ですが、柔軟な評価基準とマネジメント手法が求められています。
8-3.定期的に情報を更新する必要がある
タレントマネジメントシステムを有効に活用するためには、管理する情報を随時更新する必要があります。
定期的に社員のスキルや経験を最新の状態に反映するには、継続的なデータ入力が必要です。
社員のスキルや経験は常に変化しています。
そのため日々情報を更新するのは、人事部門の負担が大きい業務となります。
これらのデメリットを理解し、適切に対処することでタレントマネジメントシステムの導入を成功に導くことができるでしょう。
9.おすすめのタレントマネジメントシステム
タレントマネジメントシステムには多くのサービスがあり、それぞれ特色が異なります。
それぞれの特長についてまとめましたので、参考にしてみてください。
9-1.ヒトマワリ
株式会社Touch&Linksが提供するタレントマネジメントシステム「ヒトマワリ」はBI(Business Intelligence)機能を使用し、人材情報に関するさまざまな分析を行えます。
組織の横断的な分析ができることも魅力です。
組織図を自動で作成し、直感的に人事異動のシミュレーションを行えます。導入初期から運用まで、営業やカスタマーサクセスの専門サポーターも付くので安心して利用できるでしょう。
・サービスの特長
組織の横断的分析が可能
直感的な人事異動シミュレーション
無料導入サポート
ヒトマワリの詳しいサービス内容は「ヒトマワリでできること」から知ることができます。
また、ヒトマワリのお客様の声は「ヒトマワリ導入事例」からご確認できます。
9-2.カオナビ
株式会社カオナビが提供するタレントマネジメントシステム「カオナビ」は、ユーザーが集うコミュニティからの要望をベースに機能の改良を行います。
ユーザー目線を優先したシステムを構築しているのが特徴です。
マニュアルなしで操作可能な直感的UIを備え、すべての社員が活用しやすいシステムであり、専任のサポーターから、継続的な支援を得られます。
ユーザー同士が繋がるコミュニティもあり、自社に合った運用が可能です。
・サービスの特長
ユーザー目線のシステム設計
直感的に誰でも使えるUI
充実したサポートとユーザー同士のコミュニティ
9-3.タレントパレット
株式会社プラスアルファ・コンサルティングが提供するタレントマネジメントシステム「タレントパレット」は、ダイバーシティやスキルなどの人的資本を開示できるものです。「人的資本ダッシュボード」と呼ばれるデータ管理システムを搭載しています。
売り上げデータや財務データなど、さまざまなデータと人事データを掛け合わせて分析できる人事BIピボット分析機能も提供可能です。
テキストマイニング技術で社員の声を可視化できるなど、社員のエンゲージメントの向上をサポートしてくれるシステムです。
・サービスの特長
人的資本ダッシュボードを使用可能
人事BIピボット分析機能
社員エンゲージメントの向上
9-4.One人事
One人事株式会社が提供するシステム「One人事 タレントマネジメント」は、人事評価が特徴です。評価プロセスを透明化し、評価者ごとの判断のばらつきを防ぎ、評価の公平性を保ちます。
One人事「労務」やOne人事「勤怠」やOne人事「給与」との連携により、各社員の入社から退職までを一括データ管理できます。複数システムの一括導入だけでなく、必要なシステムのみを選んで導入することもできます。モジュールごとの単独導入やセット導入が可能です。
・サービスの特長
評価プロセスの透明化
労務・勤怠管理や給与計算システムとの連携
システムごとの単独導入やセット導入が可能
9-5.CYDS
株式会社サイダスが提供するタレントマネジメントシステム「CYDS」は、日報機能があり、日々の成果や業績を共有可能とするシステムです。社員ごとの組織への貢献度を明確にして、働きがいを感じられるシステムです。
また、一人ひとりの働き方への希望や意思、価値観などの変動しやすいデータ入力も可能で、データを常に更新できます。
全体を統括するダッシュボードを提示する機能もあり、組織全体の課題を明らかにすることもできます。
・サービスの特長
社員個人の貢献を明らかにする
動的データの入力を促し、情報の更新が簡便
組織の課題状況を可視化する
9-6.クレクタ
株式会社マイナビが提供するシステム「クレクタ」は、パーソナル診断機能を搭載し、社員の強みや弱みを明確にデータ化します。
e-learning機能も併設され、マイナビが制作した多くのコンテンツを活用できます。
組織全体のエンゲージメント診断機能により、エンゲージメント状態を会社全体や部署ごとなどに組織単位で確認できます。
・サービスの特長
社員の資質を明確にできる
eラーニング機能を搭載
組織ごとのエンゲージメント状態を測定可能
9-7.HRBrain
株式会社HRBrainが提供するシステム「HRBrain」は人事・労務の効率化と人材データの管理・分析を一元的に管理するタレントマネジメントシステムです。
社員の能力のデータ化、人事評価、ストレスチェック、労務管理など多くの機能の中から、自社に必要なものを選んで組み合わせるカスタマイズが可能です。さらに使用するサービスごとに異なる利用人数を設定できます。
・サービスの特長
人事・労務業務の課題をまとめて解決
複数のサービスから必要なものだけを選択可能
サービス毎に利用人数を設定
9-8.SmartHR
SmartHRはクラウド型タレントマネジメントシステムの中で、5年連続シェアNo.1の人事労務ソフトとされています。雇用契約や入社手続き、年末調整などの労務手続きをデータ化し蓄積します。
勤怠管理や給与計算システムなどと連携し、様々なデータも一元的に管理できます。
これらのデータに加えて、タレントマネジメント機能を利用することで、組織の活性化や組織変革を推進するシステムです。
・サービスの特長
労務管理のデータを一元化
基本人事データとの一元管理も可能
タレントマネジメント機能により組織の活性化を推進
9-9.ミイダス
ミイダス株式会社の提供するシステム「ミイダス」はコンピテンシーを活用し、今後活躍する人材の分析や採用を支援するタレントマネジメントシステムです。
コンピテンシーを活かした採用だけでなく、客観的に社員の能力や組織の課題を分析し、研修にも活用できます。
採用人数や受験講座数は無制限で、追加料金もかかりません。
・サービスの特長
将来活躍する人材の分析が可能
社員の内面的なスキルを可視化
客観的な視点で組織の課題や適した人材配置が把握できる
独自のコンピテンシー診断を用いて求職者を探せる
9-10.ジンジャー人事
Jinjer株式会社のタレントマネジメントシステム「ジンジャー人事」は社員の現状を科学的に把握し、モチベーションも管理できるシステムです。
各種人事情報をダッシュボード化し、勤怠情報や人事情報と合わせて要因を分析することで、社員のモチベーション低下や離職を事前に対策できます。
マスタや管理項目を自社に合わせてカスタマイズも可能で、組織情報を顔写真付きで表示できます。
・サービスの特長
各種人事情報をダッシュボード化
マスタや項目のカスタマイズが可能
組織情報を顔写真で表示
9-11.SAP Success Factors
SAPジャパン株式会社が提供するシステム「SAP Success Factors」の中のキャリア開発機能の「タレントマーケットプレイス」は、社員の継続的な成長を促進します。社員が各自の目標に合った役割や機会を結び付けて、成長の機会を提案します。
社員が必要とするものにアクセスできるデジタルワークプレイスなど、社員が存分に力を発揮できるエクスピリエンス管理を行います。
オンボーディングポータルを活用し、新規採用者の作業をペーパーレス化できます。
・サービスの特長
従業員の成長を後押しするタレントマーケットプレイス
従業員が力を発揮できるエクスペリエンス管理
新規採用者の作業をペーパーレス化
10.タレントマネジメントシステムに関するよくある質問
タレントマネジメントシステムに関して多くの人が疑問に思うことに関してまとめました。ぜひ参考にしてみてください。
10-1.タレントマネジメントシステムではどんな機能が使える?
タレントマネジメントシステムにはさまざまな機能があります。
例としては、人材管理データベースとして社員のスキル・資格などを一元管理する機能、キャリア管理機能、レポート・分析機能、コンピテンシー管理機能、後継者管理機能、人材育成機能、目標管理機能などがあります。
製品ごとに搭載機能や機能の強みが違いますので、自社にとってどのような機能が重要なのか、課題はどこにあるのかを明確にして導入することをおすすめします。
10-2.タレントマネジメントシステムは必要ですか?
少子高齢化社会が進む現代では、生産年齢の人口が減少しています。そのため労働力不足が深刻な状況です。今後も多くの企業が人手不足に悩まされるでしょう。
そのような中で、今所属している人材を最大限活用し、生産性を向上させるか、優秀な人材をいかに確保するかが重要なポイントとなります。
社員のタレント、スキル、経験を把握し、最適な人事配置や育成、採用を行うことで組織力が高まり、生産性が向上します。
そのために社員ひとり一人の情報を正確に管理して、最新の状態に更新し続けなければなりません。そのためのツールとしてタレントマネジメントシステムが必要となります。
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11.まとめ
タレントマネジメントシステムは、現在の企業にとって必要なシステムになってきました。社員の情報管理のみならず、人員配置や人材育成を効率的に行うための必須ツールです。人事部門の多岐にわたる業務を効率化することも可能です。
タレントマネジメントシステムのメリット、デメリットに関してもまとめましたが、導入の際には、システムごとの長所や短所を検討し、自社にとって必要な機能を搭載した製品を選ぶことをおすすめします。
まずは、自社のタレントマネジメントシステムに関する課題を洗い出すところからはじめてみましょう。